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映画のタイトルに最もよく使われている漢字は？

職業柄、どうしても文字に注意が向いてしまいます。先日公開しました映画のタイトル和英辞書を作っている最中に気付いたのですが、邦題に使用されている漢字って同じようなものが多いなと。どの文字が最もよく使われているのだろうと、どうしても知りたくなりまして早速調べてみました。

調査対象：国内外(大半は海外)の邦題を持つ映画１万１,５３３本
調査方法：全タイトルより、ひらがな、片仮名、記号、算用数字、ローマ字を除いた漢字のみで構成されるテキストデータ(２２８２３文字)を作成し、各文字の出現回数を数える。

調査対象漢字：１,７３２種（当用漢字、常用漢字ともに２０００字弱であるから、思っていたよりも広くカバーしていました）
全漢字出現回数：２万２,８２３回

今回辞書を作成した感触では「愛」「恋」「死」「殺」あたりが上位にくるだろうなと予想しましたが、意外や意外！以下のような結果になりました(カッコ内は出現回数)：

「愛」をおさえてなんと、「人」と「女」が堂々１位と２位に！タイトルによく使われる文字というのは人々が見たいもの、興味をそそられるもの、刺激を受けるものだと思うんですよね。よくよく考えてみると、人間が一番興味があって見たいものは結局人間ということなのかもしれません。おもしろいことに、トップ２０のうち、ネガティブな言葉もたくさん入っているのですが、それでもポジティブなもののほうが上（１～１０位）、ネガティブなものが下にきている傾向が見えますね。

で次に、英語はどうだろうと気になりまして、調べてみました：

５位：My

７位：I

傾向としては日本語と似ていると言えるのですが、注目すべきは「I」と「My」(＝私)でしょうか。ここには書いていませんが「Me」も１４位にランクインしています。英語は日本語と違い代名詞をきっちりと使う言語だからなのだろうかとも考えたのですが、他の代名詞は上位に入っていませんのでそれが理由ではないようです。やはり、英語圏の方のほうが「わが」に興味があるということなのかな。ちなみに邦題では「私」は６０位でした。もう１点、大きな違いは「殺」。日本語では１２位ですが、英語「Kill」は６０位でした。

さらに、日本語の特徴として季節も結構目につくなと思っていたので調べてみましたところ、日英で以下のような結果になりました：

英語：
summer：43位
spring：143位
winter：圏外10回未満
autumn/fall：圏外10回未満

日本語では全ての季節を表す漢字が１５回以上出現しているのに対し、英語では秋と冬は数回のみです。そして、日本語の１位は春なのに英語ではsummer夏。調査対象作品が両言語とも同じ作品ですので、それぞれにタイトルをつける時にかなりずれていることがわかります。つまり、日本人は「春」が好きだけど、英語圏はお日様ギラギラ「summer」のほうが受けが良いということなのでしょうか。そして冬や秋は論外…！

まだまだおもしろい点があるのですが、今回はこのあたりで…。
残りはこちらの↓辞書で遊んでみてくださいませ。