去る2012年2月16日、西宮鳴尾文化ホールにて開催された映画についてのトークイベントにいってまいりました。この日は我らが神戸の元町映画館支配人のワンマンショー!題して『ファンが生んだ商店街の映画館-元町映画館の軌跡~ミニミニ映画館大作戦!』。講演は2時間にわたりすべてを書くと切りがない(まあ、あるのですが…)ので全体的な雰囲気と一部のお話のみを少しご紹介します。(写真:西宮市西宮鳴尾文化ホール前の当日の看板)
この写真、おわかりだと思いますが、昨年8月の元映1周年の日に撮影したものです。上映作品は支配人さんの人生を変えたという『みつばちのささやき』と『エル・スール』。今回のトークで語られた「元町映画館の軌跡」は2006年から(厳密には大家さまがビルを購入された2000年あたりなのですが)この開館1周年までの話が中心。映画館運営を引き受けてしまったいきさつ、出資金集め、勉強会、東京などの配給会社へのとびこみでの営業、建築士さんとのやりとり、手作り(手塗り?)の天井と床...。(この中のお話の詳細は映画『
街に・映画館を・造る』をご覧いただくとわかりやすいです)
この写真はオープンの2ヶ月ほど前に撮影したもの。実はこんなところに映画館ができるなんてほんまかなあと私、疑っていたのです。でもこの中で昨日のお話にあったような汗まみれの奮闘が続いていたのですね。
前述『みつばちのささやき』を上映1周年記念に上映できた喜びをなんとか表現しようとする支配人。でもいまひとつうまく言えていないような…。支配人はどこかの市長とは違って、お世辞にも話しがうまくて饒舌とは言えず、見ているこちらとしては「う、もう一言やろ、もう一言なんかいるやろ!」と心の中で叱咤(?)しながら拝聴していたのですが、そのうちなんだかその「もう一言なんか足らん」というのがかえって、心地良くはないのですが、なんだか後でこころに残るものになったような気がします。考えてみればこの「何かが足りない、何かが欠けている」ということこそが小さな元町映画館の魅力にもなっているのではないでしょうか。ことに私は個人的に、何か欠けている完璧ではないものに愛おしさを感じてしまうのです。
元映設立の軌跡については皆様も結構ご存知でしょうから、ここで少しだけちょっとおもしろかったエピソードを。まずは支配人が持参された国内映画人口に関するデータ。そのデータによりますと、国内の映画上映スクリーン数のピークはなんと1960年(昭和35年)!年間入場者数は約10億人。しかしその5年後の65年にはスクリーン数は4500ほどになります。やはりTVの影響でしょうね。その後映画館の数は減り続け、93年に最低となります。スクリーン数は2400ほど、年間入場者数は約1億人。その後シネコンの台頭で少しずつまた数は増え始めます。私としては映画館の数は70年代がピークかなあと思っていたのでこの資料にはとても驚きました。確かに考えてみれば昔々の写真を見ると新開地にはあほみたいに劇場が並んでいましたよね。
エピソード2:元町映画館のステージ。この話は実は前述『街に・映画館を・造る』の中で建築士さんによってより詳細に語られています。元町映画館には結構立派なステージがあり、ここで監督さんが挨拶をされたり有識者の方がトークをされたりします。実はこのステージ、当初は作る予定はなかったとか。しかし消防条例だか市の決まりだかにより作らざるを得なくなったと。一般に公開される劇場のような施設は客席の面積に応じて避難口の大きさが決められるとか。で、最初の客席の大きさだと5メートルの出入口を作りなさいと市から言われたそう。元映の間口の狭さを思い出してもらえればわかると思いますが、あそこにそんなものは作れませんよね。で、ステージを大きく作ろうと。ステージは客席面積にカウントされないのでその分客席面積が狭くなり、入り口の最低サイズも小さくなるというわけです。なるほどね。でも、支配人さんも仰っておられましたが、これがすごく良かったと思うのです。あのステージでトークなどのイベントが開催できるわけですし、一番前に座って観るときにあの距離がちょうど良い距離なんです。
他には元映ロゴが決定するまでの変遷、ボツになった数々のイラスト(ポイントカードのイラストなども含めて)など、かなりのお宝写真が披露されました!これはなかなか見応えがありました。ど素人には不可能なように思える映画館運営ということが、このトークを聞いたあとには「自分にもできそう!」という高揚した気分になりましたので、このようなイベントを芸術系大学などでどんどん開いていったらよいのではないかなとふと思いました。この記事を読んでくださっている方の多くは元映経験済みでしょうが、もしまだの方がいらっしゃたら是非ともどうぞ。そして最前列で映画を体験してみてください!
元町映画館 公式サイト:http://www.motoei.com/
神戸市中央区元町通り4丁目1-12(元町商店街4丁目)
写真:開館1周年の日の支配人の足。
2012/02/17 11:51 |
category : イベント/コラム |
コメント (2)
コメント
いやぁ、ほんますんません!
(このタイムラグはちょっと凹んでました)
わざわざモクワリやめさせてまでこちらに誘ったのに、
あのクオリティは無いですよね。ほんますんません!
いやぁ、頭の中ではちゃんと組み立てていたのですが。。。
まず、工事の写真を説明した後は、プレオープンとオープンで、一旦
話変わって、元町映画館と他の映画館との違いなどを説明してから
モトセレとか、バリアフリーとか、講演の個々の写真を見てもらおう
と思っていました。
が、工事写真の説明終了時にすでに1時間過ぎてまして。
そこで、慌てちゃって、他の映画館との違いとかを言うのを飛ばして
しまって。。。アウトですわ。
うちの常連さんなら、言っている内容は解ったかも知れませんが、
おそらく元町映画館を知らないお客さまにはさっぱり何のことか
わからなかったのではないかなーと思います。
何なら、もう一度リベンジ講演したいぐらいです。
いや、やっぱりもうしたくないかも。。。
ほんま、すんません。
2012/02/18 19:31 | おもしろ
おもしろさま
いえいえ、とっても楽しかったというか、なぜか爽やかな気分になりましたよ♪
思ってたよりも大きな会場でステージと客席が遠かったですよね。私だったらちびってます、絶対に。
でも確かに、私はほぼ100%よくわかりましたが、「あー、ここはもう少しこう言わなきゃ知らない人はわからないよ~」という場面はね、少しだけ(いや多々?w)あったことはあったような。。。。w
でも(これはお世辞でもなんでもないのですが)「あー、この人、営業とか経営とかバシバシこなすような実業家タイプの人ではなさそうだなあ。それなのに映画愛だけで映画館運営できちゃうんだ!すごい!やればできるんだあ!」と感じた人は多いのではないでしょうか?
リベンジ、期待してますよ!冗談じゃなくて、大学などでやられたらどうでしょうか?
とにかく私は楽しかったです。ありがとうございました♪
2012/02/18 21:14 | Cape Daisee
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